でもその度に、「いやいや、新選組は終わらないんだ、不滅なんだ!」って、思い出して前を向くことにしてる。
ほぼ日の読者メールで、最終回の日の深夜、明け方になっても眠れないって人が結構いて。自分は割と見終わったときは、ただただ前を向こうと、爽やかな気分と希望が残っていたんだけど(たぶんそれは三谷さんの思い通り)、夜寝る時になって、やっぱり眠れないんです。悲しくなってきちゃうの。次の日になっても、その時になってやっと最終回の色んなシーンが蘇ってきて、胸がいっぱいになって、泣きそうになる。
この時差でやってくる感情の波ってなんだろう。すごくエモーショナルな気分なんですよ、今。
なんだろう、見終えた直後はどこまでも爽やかな気持ちだったけれど、あとからじわじわ喪失感がやってくる。
ああ、寂しいな……こりゃ、寝れないわ……
でもずっと生き続けるんだよね、新選組!は。
(1、2回目は号泣したんです。視聴3回目だからこそ、そして一年かけたからこその感覚なのかな、これは)
今回、近藤さん自身の台詞が全然なかった。
「近藤勇が死ぬことで、大勢の命が助かる」だって、本人はそんなことひとことも言っていないのに、伝わる。新選組の団結力が。ここまでしっかり感じられる。すごいことだと思う。
私、最終回に近づくにつれ近藤さんが急速に大きくなっていって」って前書いたけど。たくさんの近藤さん自身の名台詞があったよね。最近はその一つ一つに感動してきた。
そして最終回。彼はほとんど何も言わなかった。最後の「トシ」くらい。
近藤さん。あなたの思いは、ちゃんと皆に届いていたんだよ。私達があなたの言葉にたくさん励まれたように。最終回はみんな離れ離れだったけれど、今までで一番、強い結束力を感じられた。
そのことが私はすごくすごく嬉しかった。これが通用するのは、最終回に向けたここ数回も含め、じっくりと「局長・近藤勇」を作り上げてきたから。さらにいうと、それでも近藤さんが一番光っていて存在感があったことが凄いんです。
こんなの、三谷さんしかできないよ。
普通は最終回、主人公に何かやらせますよ。いい台詞言わせたくなりますよ。でもみたさんはそれをしなかった(あえて言うなら、最後の「トシ」に全てを託した)。そんなことしなくたって、伝わった。
一年かけて、巨大な、俳優さんたちに、現場の人たちに、そして視聴者に対しての信頼を作り上げていったんですね、三谷さんは。それが出来たのも、大河ドラマだからこそ(堂々巡りになるけど、その大河の良さを存分に活かせたのも三谷さんだから)
もうね……今までの色んな苦楽を思い出して、あの気持ちはもう味わえないんだなあって、実感してます。
板橋の処刑場へやって来たつねさん、ふでさん、音五郎さん。
「くれぐれも、取り乱さないように」
と言われて、
「取り乱すくらいなら、ここへは来ておりません」
と返すつねちゃん。強いよ、そして健気だよ(涙)
すぐさま「よく言いました」と讃えるふでさんも良い。
またまた植木屋平五郎宅にて。目を覚ましたら刀掛けに刀がないことに気づき呆然の総司。
「お孝さん!」「はーい?」「お孝さん!!」「はーい?」
って、なんだかお母さんみたい>お孝ちゃん。
「私の刀は?」
「ああ、あれは閉まっておきました」
「なんでそういうことするんたよ!刀は侍の魂なんだそ!」
珍しく叫ぶ総司に怯まず、お孝ちゃんは問い詰めます。
「またこっそり剣術の稽古してたてしょ。うちが気いついてへんと思うてた?」
「……近頃、調子も良くなったから」
「良くなったからやないでしょ!そういう時こそ、もっと養生せなあかんでしょ。つみかさね、でしょ!!」
叱られて、しょんぼりしてる総司がかわいいですぅ。すっかりお孝ちゃんに頭が上がらないみたい。
と、そこでじっとお孝ちゃんの顔を見て、
「本当だ……」
とつぶやく総司。
「なに?」
「前歯が……」
大きい、って言うのかなって思ったら。
「かわい……」
エッ!?
「ね、もっかい見せて、イーってして!!」 「いやや!」「なんでだよ、もう一回くらい見せて……じゃ、こうだ!」
さらにくすぐり攻撃にかかる総司君。あなた結構、天然なんですか?(爆)
「きゃー!」「土方さんも言ってたんだからね!」「いややっ!!」
追いかけっこしてる二人、とっても微笑ましいですが、ふと庭を見ると平五郎さんが……
意味ありげに笑う平五郎さん。いいねぇ🤣
「そ、そういうんじゃないですから」
「ちがいますから」
いや、まだなにも言ってないですけど(笑) 今私、たぶん今平五郎さんと同じ顔してる😆
宇都宮の戦場で。
土方さんは足に怪我を負っています。
「宇都宮城は敵の手に落ちました!」
「くそ。また総司のやつに馬鹿にされちまう」
なんだ、結構気にしてたの(苦笑)
島田「土方さんは知ってるんだろうか。今日があの日だってこと……」
尾関「あえて、触れないようにしてるんじゃないですか」
と、その時。桑名藩の者たちは、「ここで引くべきだ」と主張しはじめて……
「勝ち目はありません」「そんなことわからん」「無理ですよ!これは」
言い合いをしている桑名藩士と島田。そこに背を向けていた土方が、
「勝手に戦場を離れることは許さん」
と。近づいてきてなおも反対意見を述べようとする桑名藩士の首元に刀を突きつけます。
「桑名藩はいつから腰抜けになったんだ」
この下からアングルがかっこよくて、切ない。
「宇都宮が落ちても会津がある。会津が落ちても蝦夷地がある。
先に死んでいった者たちのためにも、俺たちは最後の最後まで戦わねえとならねえんだ!」
近藤さんのために、今まで死んでいった者のために、ここまで頑張ってきた自分のために。どこまでも諦めるつもりはない土方さんの強い決意が表れているのと同時に、深い哀愁もあるその表情。山本耕史って、本当に土方と同化してるよなぁ。彼自身の人生を追体験している感じじゃないのかしら。
平五郎宅の総司は、さらに弱っている気が……
「そこ、どいてくれる?庭を見たいんだ」
声にもさらに張りがなくなってるし……
「らしゅうない」
「いいだろ?私だってそういうものに触れたいと思うこともあるんだから」
一生懸命説明して、挙句にお孝ちゃんに「あっかんべー」をされてしまう総司。
「……むかつくんだよなぁ」
微笑ましいですね。なんだか空気がゆっくり流れていて、平和な感じ。
突然、三人の浪士が屋敷に入ってきました。
「沖田総司だな」
刀がないことを確認し、
「お孝逃げろ!!」
叫ぶ総司。彼をよしに、お孝はパッと両手を広げて。
「この人は病なんです。三人がかりで、病人を斬ったら、男が廃りますよ!」
決して怯まずそう言い放つお孝ちゃん。ああ健気だ、優香ちゃん…!
でも現実とは残酷なもので。
「残念だったな。それが新選組の沖田なら廃らんのだ!!」
一瞬で斬られるお孝。
「お孝!!」
充血した目でお孝の名を呼び、さらにかかって来る敵を上手く相手にしながら総司は庭へ出ます。でも咳き込みしゃがみ込んでしまい、絶体絶命の総司……!
「沖田さん!」
平五郎さんの声にはっとし見上げた総司に投げられた彼の刀。
渡された白鞘をしっかり受け止めて、立ち上がる剣士・沖田総司。強いぞ、この人は。絶対に負けない。そう思わせる。藤原君、病人から剣士への切り替えがすごい。
思わず怯む三人の浪士を総司は一瞬にして斬り捨てます。(斜め下からのこのショット、ほんとにかっこいい)
「お孝……」
そして呟くその声が弱々しく震えてて……返事はなく。
一瞬で壊された平和な日常。世の中や新選組は激動の最中にいるけど、総司のところは、せめての安らぎだったはずなのに。
ふらふらになりながら歩き出し、今までにないほどの大量の血を吐き倒れる総司。血が彼の刀に降りかかったのが印象的……。
目に入る赤い鼻緒の下駄。「お孝……」声に出てなくても、総司がそう呟いたのがわかる……
今まではただ近藤さんのため、新選組のために斬ってきたけれど。
これって初めて、総司が人を守るために使った剣じゃないかしら。
それなのに、失われた命はもう戻らず。
総司にとってもっと辛いことに、お孝は総司を守ろうとして死んだんだよね。誰かが自分のために命を落とす。こんなこと、今までの彼の人生でなかったはず。
それにしてもお見事。藤原竜也という役者は、一体何者なんだろう。2025年の今、もうすでに彼はベテランの実力俳優だけれどそれを忘れて、この22歳の若い俳優の底力に心から慄きました。素晴らしい。
「結局最後まで俺は仲間はずれだ」
勇に「新選組の隊士ではない!」と突き返され、落ち込んでいる捨助。おふでさんはそんな彼を一喝します。
「人の気持ちのわかんない人だねこの人は!
勇があんたのことを新選組の隊士だって認めたら、今頃あんたも一緒に打ち首だよ!」
「弟は、あんたを救ってくれたんだよ」
「ほら、みんなわかってるじゃないか」
呆れたように言うおふでさんの言葉に、「かっちゃん……」と泣きそうになりながら呟く捨助。
その時処刑の時間を知らせる太鼓の音が。
音五郎「行きましょう」
三人が行っても、まだ一人涙ぐんでいる捨助。
幽閉されている部屋でひとり、コルクを見つめる勇。
思い出のコルク。「すべてはこれからだったな」と、トシと語り合った大切な大切なコルク。
処刑場に連れて行かれることになって、
「それを持っていてはいけませんか」
と聞くけれど、兵士は無常にコルクを勇の手から振り払います。
「立てい!」
抵抗はせず、無表情で部屋を出る勇。狭い部屋に残ったコルクが寂しさを起こさせる……
その頃、同じように戦場でコルクを出して眺めているトシ。興味あり気に見ている島田に、
「お守りだ」
と伝えてすぐに仕舞います。
この土方のコルクのシーンも、台本にはなかったそうですね。
処刑場に向かって歩いていく勇。それを橋の上から、周りから、たくさんの人見ています。その中に、つねさん、ふでさん、音五郎さんも。ああ、スマステ思い出す。いろんな感情で見てた人がいたはず。このことを香取君は言っていたんですね。
その時、白装束の勇と上から見ているつねちゃんの目が合います。
ひょっとして。ひょっとして、この二人の目が合うショット、第11回の江戸を出発する時と同じじゃない?
つねちゃん、泣きそうだけど懸命に堪えて。「取り乱すくらいならここにはきておりません」と、気丈に耐えようとしたその時、堪えきれなかったように、
「近藤勇!よく、戦いました!」
ふでさんが声をかけます。
「お前は、多摩の誇りだ!」
「誰じゃ、今声をかけたとは!」
官軍が止めるも、音五郎さんの言葉に触発されたように、
「そうだ、近藤、よくやったぞ!」「あんたは本当の侍だ!」「よくやった!」「近藤さん!」「助けてあげて!」「近藤先生!」
と………
最初に新選組!に触れた2年前。このシーンで泣いたんだよ私……。大泣きしたのを思い出した。
賊軍となっても、見ていてくれた人は必ずいた。わかってくれる人はこんなに大勢いたんだって……
さらにその光景に我慢できずに涙を溢してしまう妻、つねさんに(涙)
周りの励ましの声を聞いて、それでも堂々と処刑台に行く近藤さんの姿にも(涙)
その光景を見て、「くそー、待ってろよー!」と走り出す左之助を、
尾形「やめなさい!」
引き止める声が。
尾形が新選組をやめたことを知り、
「やめたやつがなんでここにいるんだよ」
「山南さんに言われた言葉を思い出したんです。新選組の行く末を見届けるのが、私の仕事」
「じゃあ俺の行く末も、よく見届けておけ」
「ここであなたが死んでも!局長は喜びはしない!!」
再び走り出そうとする左之助は、その大声に立ち止まります。
叫ぶ尾形さんだなんて、山南さんばりに驚いたよ……
「生き延びるんです。生き延びて、官軍に一泡吹かせてやるんです。それが残された者の努め」
んもう、またまた、尾形さんを憎めなくなっちゃうじゃない😭
くそ、と声にならない叫びをあげて地団駄ふむ左之助。やっぱり悔しいと思う、局長の処刑を、ただ何もせず見ているなんて……
(山本太郎って、やっぱり上手いですよね。今まであまり触れてこなかったけど)
処刑台でただ無表情に座っている近藤さん。
ふと、池で泳ぐ蛙を見ます。流れる水の音に、蛙の鳴き声。青紫の紫陽花に、池の魚。空を見上げれば一羽の鳥。
自身の身を囲む自然の美しさに何か思うところあったのか、
「すいません。見苦しい首を晒したくないので、髭を剃りたいのですが」
とお願いする近藤さん。
生命の尊さというものを感じます。このシーンだけでなく、この最終回全体に「生命の尊さ」「生きることの大切さ」がひとつのテーマとしてある気がする。
これ、台本なかったんだよね。スタッフがいかに「新選組!」を理解していたのか、愛していたのかがわかって嬉しい。
その頃、処刑場の前では、浅葱色の羽織に刀を差し、鉢巻きをして襷を掛ける、へんな格好した捨助が……
頭に挿している風車が、剣士としては不似合いで、でも捨助らしくて泣けてくる。
勇が髭を剃られている頃、捨助は門番に斬りかかります。
扉を壊し、処刑場に立ち入る捨助のその一生懸命で必死で、強い表情が……うわぁ(泣)
「新選組!滝本捨助、参上ー!!」
「かっちゃーん、待ってろー!」と、刀を振り回す捨助。型も何もあったものじゃないし、案の定すぐに傷を負ってしまうんだけど………
何度も何度も立ち上がって、何度も刺されて、それでも「かっちゃん……待ってろよ……!」って、嬉しそうに言いながら、風車が止まって……息絶える。
うわぁん、捨助ーー!!だめだよぉ、あんたが死んだらかっちゃん、悲しむじゃない(涙)
でも捨助、とどめを刺されそうになっても立ち上がって、絶対に敵に背中を見せなかった。新選組の隊士として、死んでいったのかな。
単純だけど、かっちゃんがとにかく大好きで、認めて欲しくて。それだけでなぜか、こんなに数奇な運命辿ってきた捨助。おい!って思うこともあったけど、健気な捨助が私は好きだったな。
滝本捨助は架空の人物。ここまで逃げ上手でやってきた捨助は、新選組と近藤勇の行く末、また他の人物も、つまり新選組!というドラマを見届ける役目なのです。だから、近藤勇が死んで、新選組!が終わるとともにこの人も死ぬ。
物語の中のキャラクターは、物語の中で完結させる。三谷さん、そういうところしっかりしてて好きです。
「尽忠報国の志、天晴れなり!」
左之助が……!木に登って叫んでました。
「新選組は、不滅だー!!」
それを見て少し口角が上がる近藤さん。「左之助か!」って言ってるみたいで嬉しい。
「フー、フー!」
って、小学生かっ!そしてそれをハラハラしながら見てる尾形さん。
「俺も不滅だー!」って、饅頭食べながら去っていく左之助。
でも、、嬉しい。泣き笑い。そうだよ、新選組は、終わらない!!
(この辺りから、私自身も前向きな気持ちになむてきた気がします)
だってこのBGMね、最近ずっと流れてなかったやつ(次回予告で流れるやつね!)左之助があまりにも明るくて、尾形さんも「ははっ」って笑うから、馴染んで違和感なかったけど、めっちゃ久しぶり。新選組誕生のときに流れていた音楽だから。
「会津藩御預 新選組三番組長 斎藤一」
この台詞のときのそれぞれの三段階ショットがカッコ良すぎる!
そして一瞬で3人斬り伏せて(死ぬ時に鉄砲鳴らすとか、演出憎いことするなぁ!)刀の血を拭い、前へ進む斎藤。
か、か、かっこよすぎる……!!✨斎藤さんっ!!
ここ、今回一番テンション上がったかも!くぅー、斎藤さんてば、いいとこ持ってきやがって!!キャー!!
捨助が無惨に散ってしまったからこそ、映えるよね……!斎藤さん、かっこいい、惚れるっ!
布団に寝かせられている総司。お孝さんの死体は片付けられています。
布団のすぐ横には、また喀血したのか血溜まりが。そこに溺れている一匹の蟻を見つけて、ゆっくりと重い腕を動かし、蟻を救って逃してやる総司。
どことなく、血溜まりが日本地図の形に見える……
ここで、メインテーマの男性コーラス版が流れる。ああ、総司ももうじき死ぬんだ……と
ドラマでは描かれませんが、もしかしたら総司は一番、救いのないラストだったかもしれない……山南さんや平助、源さんは華々しい退場をして行って、残された者たちも、近藤はもちろん主人公だから当然として、土方さんも左之助も永倉も斎藤も、それぞれ見せ場があったり、「その先」に希望があった。でも総司はたった一人で、ただ死を待つのみ……最期の最期に、お孝さんに言われた命の重さというものを、それから今まで斬ってきた人たちをもう一度思い返しているのでしょうか(泣)
多摩の頃の、あんなに無邪気で可愛くて、キラキラしていた総司がこんな最後だなんて、誰が想像できただろう。
戦場で、降り注ぐ銃弾を避けながら攻撃の機会を伺っていた土方たち。
「行くぞ!島田、尾関!」
「おう!!」
恒例の、誠の旗が空に掲げられます。
「かかれ!!」
刀を振り上げて敵に向かっていく土方さんのこのがむしゃらな感じが好き。
そして、今度こそ本当に斬首の近藤さん。
この順番、やっぱり最後は、「総司→トシ→勇」なんだなあって。
広がる雲ひとつない青空。
目を赤くして、少し震える口から出てきたのは、
ものすごく明るい「トシ」。
組!ファンなら当たり前に知っていることだけど、これは「トシ、次はなにをしよう?」の「トシ」なんだよね。三谷さんが書いたト書きじゃなく、香取君が考えたこと。
だからこんなに明るい、でも少し儚さも漂う「トシ」。白刃が一門して、白くフラッシュバック……
『完』
終わった。おわったぁ………
息をつこう……としたら。
タッタタタタッタッタ
間を開けずにカーテンコール!&メインテーマ!思わず拍手始めちゃった。
ここ、一番興奮する!!!
隊列にいる懐かしい顔ぶれにキャー!!!山南さんがいる、平助も源さんもいる、総司が元気、観柳斎もいる、谷さんの引き笑いがみえる……!!
1話の黒船のシーンから。
ああ、これ、リアルタイムで初めて見たら……たぶん一週間気がおかしくなっていたに違いない(爆)
京都編。色気たっぷりのお梅さん、美しい!相撲、懐かしい〜!新見さんの予言めいた言葉が蘇る(怖)
芹沢鴨の死。
そして第二章。新選組の誕生、池田屋事件、
そして、友の死。
歌詞が入るところで、あの夕日をバックに隊士たちが並んでいるシーン。
それから、それぞれの隊士のシーンが一人ずつ映し出されて。ちょっと憎んでいた観柳斎も伊東も、そうじゃない人たちも、隊士全員の魂が、私の心の中で生き続ける(涙)
山崎
島田
松原
尾関、
周平
伊東さん。
永倉さん
斎藤
源さん
山南さん
平助
左之助
そしてまだ若い総司が筆を持って笑ってて、多摩の笑顔のトシがいて、最後ににっこりと笑う勇。
「一緒に何かでかいことしようぜ!」「考えとく!」の、あのシーンですね。カーテンコールの最後は、やっぱり総司→歳三→勇、この3人だよね。そこまでの試衛館メンバーは2ショットずつで、「全員入る!?終わっちゃうよー!」となったところでの総司、歳三、勇それぞれ1ショットずつ。これがまた、センスいいんだ(感激)
黒く消えていく画面。そこに、
「楽しみですね、京都」
と総司の声が。ええー!!
映されるのは、第10回のあの場面。
「京では何が待ってるんだろうな。俺たちを」
あなたたちを待っていたのは、激動の時代の移り変わりと、悲劇だったけれど……それでも、「あんなに楽しいことはなかった」これは本心じゃないのかな。私もそう思う。だって、今流れたカーテンコールで隊士を引き連れている近藤さん、すごく生き生きした顔してたもの。
ここからは雑感。
不思議と。泣きませんでした。前半は何度か泣いてたんだけれど、後半は全然。
自分でもびっくりです。最終回なんて、号泣して感情ぼろぼろかと思ってたのに。見終えた今、私の心はすっきりと晴れています。
「号泣する」以上のものを感じたんだな、きっと。生きる希望を。三谷さんから、どんなことがあっても前を向いて生きていけるように、エールを貰った気分。
生きなきゃ。どんなことがあっても、と。
この作品に出会えてよかった。
2022年1月3日深夜。何気なくつけたチャンネルで、鎌倉殿の番宣でやっていた新選組!スペシャル。最初は「沖田総司?聞いたことある」「土方歳三?ああ聞いたことある誰だっけ」状態。香取慎吾も山本耕史も藤原竜也も何も知らず。でもこのスペシャル三部作を3日にわけて見て、3部目「愛しき友よ」で号泣。
私が映像作品を見て泣いたのは、これが初めてでした。
今だから言いますが(とっくにバレてるって)私が最初にハマったのは藤原竜也の沖田総司。そこから、順番ばらばらに全話みて(これが今思うと悔しい)、ちょっと間開けて1話から一気見して、さらにそこから半年ほど開けて2024年お正月、「20年前と全く同じように、1年かけて見よう!」と決めた。『「次はどうなるんだろう?」とワクワクしながら一週間待たなければいけない』これこそが連続ドラマの特徴で、魅力だと三谷さんが仰っていたから。それを想定して書いたんだと思うから。
そして、視聴3回目だからこそ、一年かけて見たからこそ、初めてわかることがたくさんありました。1回目、2回目の時には感じなかった感情の発見もありました。
「新選組!」は、切ないとか悲しいとか、そんな単純な言葉では表せない深い台詞や演出や音楽や俳優さんがたくさんあって、ある意味で感想を書くというのはとてもハードルが高かったけれど……やっぱり見続けてよかったと思う。
最初に見た時と、今見たので起こる感情が違うように、これって自分自身の内面の変化も表してる気がするんです。見れば見るほど深くなるドラマ。だから、また2年後に見たら全く違う感想が出てくるだろうし、10年後20年後、なんなら50年後にでもまた見たい。
脚本の三谷幸喜さんが、夢だった大河ドラマを書いた最初の作品。「新選組!に出ている俳優さんたちは、きっと10年後、テレビで毎日見るようになる」本当にその通りになった、素晴らしい俳優さんたち。キャスティングしてくれた三谷さん、主役を引き受けてくれた香取君、細かいところまでうんとこだわってくれたスタッフたち。私を散々泣かせてくれた音楽を作った服部隆之さん。そして、21年以上経った今でも新選組!を応援している多くのファンの方々。
「新選組!」という素晴らしい作品に心から心から感謝します。
最後にひとつだけ……
組!忘年会、続けてちょうだいよ、耕史くん!!
いざ!!
「新選組は不滅」だから。私たちの心の中でずっと生き続けるから。だからこんなに希望を持てる。
さあ、以下最終回感想です。
賊軍の将であることに加え、坂本龍馬暗殺の疑いもかけられ、ピンチの近藤さん。それでも、「嘘ではございませぬ!」と徹底抗戦しています。
また、「甲州に行くことを勧めたのは勝海舟だな?」と聞かれ「私一人が考えたこと」と嘘をつく近藤さん。国のために、自分が全て背負う。
ここで、1話の佐久間象山先生の言葉を思い出す。
「人は生まれてから最初の10年は己の事だけ考える。
そして、次の10年は家族の事を考える。
20歳になってからの10年は生まれた故郷の事を考える。
30歳になったら日本の事を考え、40歳になったら世界の事を考える」
一話で二十歳だった勇は、まだ自分の将来のことしか考えられなかったけれど、今は国のために自分の命を懸けようとしている。本当に、大きくなったものです(涙)
最後のオープニング。
「最終回 愛しき友よ」
この文字に、不思議ともう泣きそうにはならない。決意を固めるタイトルな気がする。
追加:感想書くために見直した時のこと……
愛しき友はいずこに
この身は露と消えても
忘れはせぬ 熱き思い
誠の名に集いし
遠い日を
あの旗に託した 夢を
こんなに歌詞の意味が染みたことはない。特に「忘れはせぬ 熱き思い」のとこ。
三谷さんは最初から、ここまで考えてたのかなぁ。それがぶれずに最終回まで来れたのがすごい。
・「おいは、戦った相手にこそ、正々堂々とありたかとごわす」
立派すぎる、有馬様……!(カツラないと雰囲気ちがうよー笑)
彼は、京へ行けば生き延びる目もある、とまだ諦めるつもりはありません。
「有馬様。私の心は決まっております」
「生きることを、恥ち思うたらいかん!」
有馬様から一喝。かっこいいな。
これまで「武士というのは立派に死ぬことだ」という節があった近藤さんに、ものすごく刺さったのでは?この言葉。
近藤さんが捕らえられたのを知り、助けに行こうと言う捨助に土方も斎藤も尾形も誰も続きません。絶望の雰囲気……
「てめぇら!かっちゃんを見殺しにするつもりか!!俺は一人でも助けに行くぞ。ちっくしょう。見損なったぜ!」
そう言い捨てて駆けていく捨助。せめて、斎藤さんは立ち上がってほしかったなぁ……なんでだろう、新選組らしくないよ……
でも、捨助の気持ちはすごくわかるんだけど、土方さんの表情を見ると、何も言えなくなる……「局長は俺たちを助けるために降参したんだ」
っていう彼の気持ちも、痛いほどをわかる。
そしてこれから江戸の勝海舟に会ってくると言う土方。島田と尾関は土方と共に、斎藤へは会津へ行き容保公に力添えを、と指示を出しますが、
「私はここで失礼したいのですが」
と尾関が脱退を申し出ます。
「ここまででしょう。落ち着いて考えれば、新選組に再起の道は無い。私としても残念だが。局長がご無事であること、お祈りしています」
去っていく尾関……
島田「最後まで馴染めない人だった…」
私も、あんまり好きじゃないなあ尾形さん。この状況下で新選組を離れるのは賢いのかもしれないけど、でも、山南さんとの約束はどうなっちゃうのよ!
ていうか去るなら黙って去れよ……「局長のご無事をお祈りしております」なんて
あんたに言う資格はないんだーうわーん(わけがわからず哀しい)
いちもんめのいーすけさん
芋買いに走った
娘のたまちゃんが手毬唄を歌っています。
勇が捕えられたことを知って、逆上するおふでさん。
「勇は、天子様をお守りするために京で頑張っていたのではありませんか。それがなぜ、逆賊の汚名を着せられるのです!?捕えられなければいけないんですか!!」
鹿之助さんの胸倉掴んで我を失うおふでさん。ふでさんが言うからこそ、ぐっと来る。
さんもんめのさんすけさん
さんしょう買いに走った
多摩の娘と同じ手毬唄を歌っている、幽閉されている豊田家の娘、とみ。勇は彼女が落とした鞠を拾って渡してあげます。げんこつを口に入れて、それを見て喜ぶとみを見て、とみを連れ戻しにきた母親に、
「すみません!
有馬様を呼んでいただけますか」
と頼みます。やっぱり、生きようと思ったんだ。愛する娘のためにも。
「除名嘆願書でもなんでも、書けと言われりゃ書くけどさ。言っとくけど無駄だぜ」
江戸の勝海舟のもとに来た土方さん。
「近藤が今までどれだけ徳川幕府のために尽くしてきたか、おわかりですか」
「わかってんだい!わかって言ってんだこちとら!」
「あんたに頼んだのが間違いだった」
去ろうとする土方に、
「近藤を助けになんかいくんじゃねえよ」
と言う勝。
「いっとくけど、近藤の死は無駄死になんかじゃねえんだ。奴は、薩摩と、長州と、土佐の恨みを、一身に引き受けようとしてるんだ。徳川に対する、憎しみの一才を、一人で受け止めようとしてるんだ。近藤が死ぬことで、大勢の命が助かるそんなことは、新選組の、近藤勇の他に誰が出来るっていうんだ!
……本望じゃねえのかい?」
そんなこと、土方さんだってわかってる。でも、生きて欲しい。いくらその死を称えられたって、そのために親友に死ねと言われてさぁ……土方さんにとって、近藤勇は「新選組の局長」である前に「親友のかっちゃん」なんだから。なぜ近藤さんじゃなきゃいけないのか、他の奴じゃだめなのか……
自分のせいで、自分が新選組を作って局長に立ててきたせいで、親友は殺されてしまうのではないか。そう責任を感じでいるのではないかな、土方さん。悔しいし、哀しいし、やるせないし、どうしていいかわからないはず。そんな土方さんももう、可哀想で愛おしくて、なんとかしてやりたくて……
「土方。どうせ死ぬ気でいるんなら。俺の頼み聞いてくれねえか。
北へ行ってくれねえか」
北へ……
「榎本武揚は知ってるか。
薩長のやり方に納得をしない連中が、一矢報いようと画策してる。まあ恭順を貫いた慶喜公にも、皆様ご不満のようだ。
遅かれ早かれ、また戦になる。お前、それに加われ。
言っとくけど、徳川の時代はもう終わった。もう一度ひっくり返すことなんて出来やしねえさ。
でもなあ、幕府にも骨のある奴がいたってこと、ちったあ、歴史に残しておきてえじゃねえか」
勝先生も声が震えてる。ちゃんと残ってるよ。最期まで戦い続けた彼らのことは……
「なんてったって、泣く子も黙る、新選組の鬼副長だ。みんなも喜ぶと思うぜ」
この勝先生の言い方がすごく優しいの。ああ、だからこの人、憎めないんだよ。
総司を見舞いにきた土方さん。
「甲陽鎮撫隊は、負け戦だったみたいですね」
「あれは、名前が良くなかったな」
そうね(苦笑)やっぱり新選組じゃなきゃ。
「私が離れてから、一度も勝ってないじゃないですか」
「俺たちはこれから、下総の鴻ノ台ってところに行く。徳川の家臣が集まって兵を挙げるそうだから、それに加わる」
「みんな一緒ですか」
おずおずと聞く総司。怖いんだなぁ、自分は側にいないけれど、仲間が知らず知らずにいなくなっていくのが。
「俺も局長も、永倉も原田も斉藤も一緒だ。お前も良くなって早く追いつけ」
目が泳いでる土方さん。もう、わかりやすいよ……
気まずくなったのか、
「お孝ちゃんとはどうなんだ」
と土方は無理矢理話題を変えます。
「あれはいい女だぞ。前歯がでかい女は、情が深い」
「大きかったっけ?」
「見とけよそういうの。姉さんも大きかったが、妹もでかい」
なにその恋愛観?トーク(笑)さすが土方さん。でもこんなのも、これで最後か……
そこにお孝ちゃんがやって来ると、「先を急ぐんだ」と立ち上がる土方さん。
「みなさんによろしく」
「…おう。元気でな」
じっと土方さんの目を見つめ続ける総司。ここで流れるメインテーマが、不思議な気分にさせます。安心感だったり、心にぽっかりと穴が空いてしまって、もうそれをどうすることもできないような。
土方さんは少しだけ微笑んで、足早に去っていきました。
「みんな私会いにくる。別れを言いに……」
「別れやなんて……」
「それに土方さん嘘ついた。顔に出るんだ。あんな素直な人いないから」
「何の嘘?」
「たぶん、もうみんな一緒じゃないんだ」
嘘ついた土方さん。大切な総司を傷つけないため。これ以上病状を悪化させないため。これは土方さんの優しさ。
でも、わかっちゃうよね……だってずっと、土方さんを近くでみてきた総司だもん。「あんな素直な人いないから」っていう台詞に、二人の信頼感とか仲の良さとか、総司がいかに土方をよく見ていたかが表れていて嬉しい。
これが今生の別れだと、二人ともわかってる。近藤さんのときと比べて、さりげない、というか、あっけなかったな……。
なんとなく、私この二人が一緒にいるの、好きだったんですよね。気の置けない二人の間柄が。お互いのことをよくわかっている二人の感じが。
隊で敵も多く憎まれ役を一身に引き受けていた土方の、総司は常に味方でいてあげていた気がする。30話で「土方さんは欲得ずくで動くような人じゃありませんよ」って庇ってたし。
土方さんの方も、総司の病に一番に気づいたのは彼だったし、江戸を出る時にも「総司は俺が責任を持って預かる」って言ってくれたし。結構、気にかけてくれてた気がする。
割と最初から最後まで二人の関係性は変わらなかったと思う。今思えば、一緒にご飯食べて「「おかわり!」」って言っていた4話の頃が懐かしいです。
徳川幕府に「近藤を処刑する」と伝えたところ「近藤はすでに徳川の家臣ではない。そちらで罰せよ」と返ってきた……と香川。
「つまり近藤。おんしは徳川からも見捨てられたというわけじゃき」
そんなひどいことって……だってどれだけ近藤が今まで幕府のために戦ってきたか。幕府の人たちは高見の見物だったくせに。
「この上は、江戸の西郷先生に、訴えてみようち思うておりもす」
それでも有馬様、まだ頑張ってくれます。お願い……
有馬から受け取った手紙を呼んで、相変わらず真意の見えない目で、
「慶喜は生き延び、おかげで兵士達の徳川に対する恨みのはけ口が無くなった。そん役目、近藤さんにお願いしもんそ。幾千の志士達の無念と、残されたもん達の恨みを、あん人に、受け止めてもらいもんそ」
と……西郷さん、怖すぎ。この人、人を裏切るってことに良心の痛みとかないのかしら……別に今更憎しみとか湧いてこないけどさ……。
ま、でも、この宇梶さんの西郷は、イメージする「西郷どん」にすごく近い。新選組!においては最後まで悪役だけど、あっぱれです👏
でも。
「それからこの文だが、先ほど、薩摩屋敷から突き返されてきた」
「西郷先生もお困りのご様子ぜよ。これは、受け取らざった事にすると、仰せである」
有馬様、ものすごく頑張ってくれたのに。
「余計なことをしてくれたな」
これで有馬様ももう、何も出来なくなってしまった(悔)
「近藤勇を、斬首の刑に処す。期日は、四月二十五日」
ひどい……ひどすぎる。斬首という言葉の響きが信じられないくらい頭の中でがんがん鳴って。
でもそれを聞いている近藤さんは何も感情を露わにせず、ただただ落ち着いています。だからこそ、私達視聴者は悔しい……。
「行かせてくれぇ!!」
泣き叫ぶ彦五郎さん。それを鹿之助さんが必死に押さえています。
「勇が何をしたって言うんだよぉ。なぜ罪人扱いされないといけないんだ!
せめてさぁ、武士らしく切腹させてやってもいいじゃないかぁ」
ここ、釣られてボロ泣き。
そうだよ、よく考えたら(考えなくても)近藤さん、なんにも悪いことしてないのに。
でも鹿之助さんは。
「情けを持たない者に人はついてこない。
薩長の時代も、そう長くは続かないと私は見ています。いずれ、近藤さんの後に続く者が必ずこの多摩から生まれる!私は、そう信じている!」
そして、6年後。本当に多摩から続いたんですよね。多摩地区は自由民権運動が活発な地区だったと伝わっています。近藤さんの後に続く者は本当に出てきた。これ、私は三谷さんの上手い結び付けだとは思えないのです。
土方家に戻ってきた歳三。向かいには、兄・為次郎さんが座っています。
「では、鳥羽と伏見の戦いの折りに近藤さんは、大坂城で上様にあくまで戦うべきだと、直々に申し上げたんだな」
「ええ」
「いやぁ、近藤さんも、大した出世だ」
聞いてる土方さんはすっかり弱気な傷心な目。「どうしよう」っていう、まるで取り返しのつかないことになった子供のように……耕史くん、どうしてこんな目できるんだろう?(涙)
でも、そりゃそうなるよね。自分がここまで連れてこなかったら、斬首なんてことにはならなかったのにって……
「歳三。よくここまで近藤さんを盛り立て、新選組を引っ張って来たな」
「しかし最後は、土方家の名に、泥を塗るようなことになってしまいました」
「馬鹿を言え。誠の旗の下、京の町でお前達は、時代と戦ったのだ。これほど痛快な事があるか。
お前達は、多摩の誇りだ」
静かに涙を流す土方さん。
『時代と戦ったのだ』っていう為次郎さんの言葉が嬉しくて、私も泣けてくる。
「何が正しくて、何が間違っていたかなんてことは、百年後二百年後の者たちが決めればいい」
そして漢詩を口ずさむ為次郎さん。耕史くん、ほんとに綺麗な泣き方……たぶん、素で涙を流してる。
土方さんって、このお兄さんの前でだけはすごく素直になるんですよね。それも良いなあって思ったり(そしてここでも令和の土方と平成の土方の共演)
山本耕史演じる土方歳三。今までもたくさんかっこいいなぁと思ってきたけど、私このシーンで一番彼の魅力を感じたかもしれない。嫌いだったわけではないけど、大好きになった。
最終回は、土方さんが可哀想で可哀想で……助けてやりたい、なんとかしてやりたい、そう思わせる繊細な土方さん。演じる耕史くんって、本当にすごい。
とうとう原田とも離れたもので、一人ちびちびと酒を飲んでいる永倉さん。そこに、
「永倉さんじゃありませんか!」
と散切り頭の若い男が。誰?ってなってる永倉さんに、
「私ですよ。浪士組の時、お世話になった、大村達尾です」
ああー!祐天仙之助を、親の仇だって言ってた大村くんね!なんか、いい男になってない?
結局江戸に戻ってから、祐天を討ち果たしたみたい。そこに、3人ほどの男が乗り込んできました。
「親分の仇だ、覚悟しやがれ!」
逃げていく大村さん。時代は繰り返す……ってことでしょうか。
そしてこんな脇役でもしっかり幕引きさせる三谷さんすごすぎ。
そこにやってくる芳賀。
「近藤勇が、流山で捕まったそうだ。まもなく打首になるらしい」
目を見張る永倉さん。
「新選組もいよいよ終わりだ。一足先に抜けておいて良かったな。残ってたら今頃お縄だぞ。調子に乗って、人斬り三昧するような奴だから、罰が当たったんだよ。打ち首が丁度いいんだ、あんな野郎は」
永倉の表情に気づいてるのか気づいていないのか、好きに喋りつづける芳賀。
ちがう、ちがう、ちがう!あんたに何がわかるんだよぉ!!
と一人で憤っていたら。
「お前に何がわかる!」
芳賀を怒鳴りつける永倉さん。
「俺の前で、二度とあの人の悪口を言うな。近藤さんを悪く言えるのは、苦楽を共にしてきた者だけだ。
俺だけだ!」
ちょっと頑固なところはあったけど、やっぱり真っ直ぐな永倉さん、かっこいい。
「おまさー、茂ー、待ってろよー!!」
おまさちゃんは無事、男の子を産んだみたい。茂と名付けたその子はお腹が空いたのかずっと泣いています。
「近藤勇が?」
その名に道端でおにぎりを食べていた左之助は顔をあげます。通り掛かりの薩長兵が、「板橋の処刑場で打首になるらしい」と言っているのを聞いて……
ここは……
壁の落書き。
「局長待ってろ……今助けに行くぞ!」
鳥肌たった。
会津の容保公へ助けを求めに向かうも、「どうすることもできん」と言われてしまった斎藤。
容保様も可哀想な人だ。無理矢理江戸へ連れられ、さらに追い出されて……
「斎藤一。身命を賭してお仕えいたします」
「京へ向かってくれ。首は三条河原に晒されると聞いた。奪い返せ」
「かしこまりました」
この二人のこのやり取りがとんでもなくかっこいいです。
勝先生の屋敷にて。
「武士らしくってなんだよ!」
認めてくれてたんだよね、この人も。それに勝先生、あなた、結構ロマンチストなんじゃないの?なんて(笑)
「ここはおいを、信じてたもうせ」
近藤が今まで賭けに出て勝ってきたのは、人を信じてきたから。
頭を柱にぶつける土方さん。悔しさをぶつけるようなこの姿は、河合さんが亡くなった時にも見ました。
「行けば、殺されます」
「行かねば、近藤勇であると認めたことになる。表の者たちが踏み込んで来る」
「その時は戦えばいいじゃないですか。なぁ、みんな!」
「そうです、戦いましょう!」
「俺はここで死んでもいいです」
「私も同じ気持ちです!」
「死んではならん。それでは無駄死にだ」
順に立ち上がる隊士たちを諭す近藤さん。廊下にいた土方がやってきて、
「降参するつもりか!」
近藤と向かい合います。
「俺が近藤であることを有馬様は見抜いている。その上で、力になってくれると言っているのだ。俺はあの人を信じる」
「あいつだって、薩摩の人間なんだぞ。いつ裏切られるかわかったもんじゃねぇ」
「その時は堂々と近藤勇を名乗り、俺は腹を切る」
「そんなことが通ると思ってんのか!あんたは敗軍の将だ。下手すりゃ、打ち首だぞ」
「打ち首にはならん」
「新選組を仇と思ってる奴らを甘く考えるな!」
「ならば、今ここで腹を切るまでだ!」
「違う!!」
「あんた何にもわかっちゃいねぇ。あんたが死んで、俺たちが生き残って、それでどうなる?! 俺たちゃ、近藤勇についてきたんだ。残った俺たちのため、死んでいったあいつらのためにも、近藤勇には生きてもらわねぇとならねぇんだよ!!」
号泣………「死んでいったあいつらのためにも」いろんな人の顔が浮かんできて……山南さん、平助、源さん、芹沢さん、河合さん、伊東さん、武田さん、他にもたくさん。
なんて言えばいいのかなぁ……今までたくさんの仲間を粛清してきて、内輪揉めばっかりだったけど。河合さんの時だって、「山南さんを死なせたってことは」って言っていたけど。今の「死んでいったあいつらのためにも、生きて」というのは、なんかもうスケールが大きくて。うまくまとめられないけれど、「ああ、やっぱり「新選組!」の集大成、クライマックスはここなんだな」って思うんだよね。
「お前たちもそうだろう?!」
「はい!」「はい!!」
「みんな局長に死なれたら、この先どうしていいか、わからねぇってよ。」
「俺は、どうすればいいんだ。」
「こうなったら、手は一つだ。死ぬ気で嘘をつき通せ!大久保大和として奴らの本陣に行き、大久保大和として帰って来るんだ。
生きろ。どんな手を使っても」
近藤さん、近藤さん……今までたくさんの人の生を願ってきたけど、当たり前なんだけど、最後にこんなに「近藤さん、生きて……!」って願うなんて……
「俺にもしもの事があった時、これは仮の話だが」
支度をしている勇の側で、刀を用意している周平。
「はい」
「土方は、皆を連れて会津へ行く。お前は行ってはならん」
土方は、会津へ……この台詞だけで泣けるのはどうして。この先を知ってるから?この感情は歴史ドラマでしか味わえないものだと思う……
「俺は勝沼の戦いではっきりわかった。この戦が終われば、世の中は大きく変わる。お前のような男が力を発揮出来る時代がやって来るのだ。
俺たちの時代はもう終わった。これから先はお前が切り開け。今まで以上に勉学に励み、学んだことを生かして、身を立てろ」
近藤は、周平の刀に手を置いて、
「そのために今は、命を惜しめ」
と。たくさんの人の命を絶ってきた新選組の局長が、近藤勇として息子に願うこと。
「それが我が息子への、父からの願いだ。いいな。近藤周平」
「はい」
近藤をまっすぐ見上げて話を聞いていた周平。あなたは近藤勇に相応しい、息子になったと思う。周平本人も、それを誇りに思っているはず。まっすぐで揺るぎない、純粋な目からそれを感じました。その目は、ずっと昔から変わらなかった勇の目と同じ。
「行きなさい」
頭を下げて、刀を近藤に手渡し、出ていく周平。ああ、周平も目を赤くしてるよ……浅利陽介くん、上手いなぁ。刀を差し出す周平の姿が健気で健気で……
もうね、私も近藤さんの一言一言に涙してます。
「俺たちの時代はもう終わった」
禁門の変の時に、「これからは俺たちの時代がやってくる」と言っていた。彼らの時代は驚くほど短くて、切なくて……激動の幕末を、風のように駆け抜けた新選組。言葉だけでなく実感しました。
こうなると、総司が言ってたことが全てな気がするんですよね。「二百年ずっと戦がなくて、いよいよ世の中が不穏になってきたと思ったら、刀の時代は終わっちゃった」
たまたま刀の才能がある者たちが集まって、たまたま世の中が不穏になった時で、たまたま時代の移り目に鉢合わせてしまった。すべては時の運で……
(話があちこち行きますけど、あの、かのベルばらで 幕末のロマンにフランスをぶっこむなって自分でも思うんですけど、あの、すみません……)
「別れの言葉なんて、いらねぇぜ」
「別れは言わん。お前には礼を言う」
「礼なんか言われる筋合いはねぇ」
「俺がここまでやってこれたのは、お前がいたからだ。お前がいたから、俺はなんとか踏ん張れた。辛いこともあっただろうが、今までよく助けてくれた」
これはそのまま、香取慎吾から山本耕史に向けた言葉な気がする。
「あんたはどうだったんだよ」
ここで流れるのは、もちろん「誠の友情」
あんたを悩ませてばかりいたような気がする。新選組を作って、俺は余計な重荷を与えちまったんじゃねぇかって」
「そんな訳ないだろう」
明るく声を上げる近藤さん。普段は土方さんが近藤さんを引っ張っているからこそ、たまに弱きになる土方を近藤さんが励ますシーンが嬉しくて……
「あんなに楽しいことはなかった」
「本当にそう思っているか」
「考えてもみろ。腕だけを頼りに京に上り、俺たちの手で薩長に一泡吹かせてやったんだ。
俺は満足だ」
今までのいろんな光景が浮かんでくる……まだ若く希望を持っていたあの頃の彼らを思い出すとまた涙が溢れて溢れて止まらなくなります。
そして、これだけでも泣けるのに、
「お前まだあれは持っているか」
って、もしかしてもしかして……
「当り前だろ」
それぞれ首元から、懐から小袋を出す二人。
「全ては、これからだったな」
付き合わせるコルク。
1話の黒船のときに、乗り込もうとしたんだよなぁ。
『戦利品だ』
って、香取くん声が全然違う!!すごい、一年でこんなに変わるものなんだ……!
「そしてまだまだ、終わった訳じゃねぇ」
「行ってくる」
目を見て言う近藤さんとしかと頷く土方さん。
「近藤勇、一世一代の大芝居だ」
そして……抱き合う二人。肩に手を回した土方さんの背を優しく温かく抱きしめる近藤さん。
この時の土方さんの表情が……いえ、山本耕史くんの表情が、優しくて、穏やかで、寂しそうで、不安気で、なんだろう、「見てるだけで泣ける表情」なの。それから近藤さんの存在を噛み締めるように目を瞑るのがもう……!
そして近藤さんは、ずっと目を開いたまま。泣きそうになりながら抱きしめる。あぁ………
近藤勇と土方歳三。かっちゃんとトシ。香取慎吾と山本耕史。役柄を超えて二人のお互いに対する想いが通じ合ったような……もしかしたら台本なんかなくて、自然と起こったことなんじゃないか……そんな気さえする。
ここで今回は終わりなのかと思ったの、最初は。というか、これで終わりだといいな、と願っていたのかもしれない。そんな雰囲気だった。今までの回だったら絶対にここで終わってたからかな。それが……
「何度も繰り返すが、私は大久保大和。近藤ではござらぬ!」
「お前を京で見た者がおるんじゃ!」
「箱根より西へは行ったことがございません」
「江戸では、何をしちょったか」「講武所で剣術を教えておりました」
「でたらめを申すな!」
「でたらめではござらぬ!」
全く動じず、逆に近藤の迫力にうっとつまる官軍の取調役(香川&上田)
近藤さん、嘘は一番苦手だと思ってたけど、生きて帰ってくると約束したんだもんね。
強情な近藤に、「そろそろ帰してやっては」と進言する有馬さん。
でも香川が頷きかけたそのとき、上田が、
「天は我らの味方のようじゃき!」
と追いかけてきました。
「我が陣営に、かつて新選組にいちょったという者がおったきに」
表情が固まる有馬さん、ああ……
「すぐに大久保大和に引き合わせろ!」
訓練中の薩長軍から、一人の兵士が呼ばれました。
「加納鷲尾はおるかえ?」
「私ですが」
加納さんかぁ……加納さん、よりによってなんで薩長軍に入れたんだろう。
「お主に会いたいという者がいる」
と、近藤のもとに連れてこられたから加納さん。彼の顔を見ても近藤さんの表情は変わりません。むしろ加納さんの方が戸惑いを見せていて。
「どうだ。近藤勇に間違いないか」
ずっと加納さんの目を見つめる近藤さん。目で「言うな」と頼み込んでいるのか、目の前の人間を見極めているのか。加納さんの目は揺れ、焦点を合わしません。良心の矍鑠に苛まれているよう。
そして……ああ、ここからは。
尊すぎて語れない。
息がつまるような空間の中、どうしても決心がつかない加納さん。先に口を開いたのは、近藤さんだった。
「加納くん。お久しぶりです」
はっとする加納さん。そして、これ以上ない敬意を払おうとするように、深く深く頭を下げ、
「ご無沙汰しています。局長!」
と。このために、これまで加納さんを「いい人」に書いてきたの……?
そこで流れる、讃美歌のようなbgm(メインテーマの女性コーラスver.)
障子から差し込む夕日。局長に向かって深く頭をさげる加納さん、2人の影。
この光景はどこまでも神聖で。
このドラマで描かれてきた近藤勇は、今まで男らしく、武士らしく、泥臭くもがいてやってきて、ここまで上り詰めてきた。それが、こんなに神聖な降伏の仕方だなんて……見たことないもの、こんな雰囲気。
諦めの「加納くん。お久しぶりです」が、同時にどこか、解き放たれた感もあって……
そして少しだけ微笑む近藤さん、同時に「終わった……」っていう表情も出てる。うう、でもだめだよ、「大久保大和として行き、大久保大和として帰ってくる」んじゃなかったの……
残るは最終回のみ。あとは、前日の夜にスマステスペシャルを見て、備えます。
ここ数回で感じてた「終わっちゃうんだなあ……」っていうのは、もうないんです。このラストのおかげかな、見る側も、決心がついたかんじ。
なのに……
最終回予告。
彦五郎さんが泣き崩れてて、斎藤さんが無双してて、総司が倒れてて、土方さんが刀を抜いてて、捨助が武装してて、ふでさんが……
もう、なんでこんなに10秒で泣ける特集みたいにするのよ……
"最終回 愛しき友よ ご期待ください"
大号泣……後半特にずっと……
一回見ただけじゃ感想書けません……
みんなよかった。みんなすごかった。古田新太さんもすごかった。
こんな陳腐な感想しか出てこない自分が恥ずかしいけど、でもそんな、冷静に語れない……
(後から他の方の感想を見ても、皆さんそんな感じでした。ほぼ日だって異例の15分休憩だったし)
感想があまりに長くなってしまったので2回にわけます。
" 敗戦の衝撃と混乱の中、近藤と対立した永倉新八は、原田左之助とともに新選組を離脱。また、病状が悪化して戦列を離れた沖田総司は、千駄ヶ谷の、植木屋平五郎宅の離れを借りて、療養していた。
近藤勇と苦楽を共にしてきた試衛館以来の同志は、いよいよ土方歳三だけとなっていた“
うわぁ…このナレーションは来るわ……おまけにこの図……↓

なんてこと……(泣)
五兵衞新田にて。二人とも、釣りしてるし(笑)
「かっちゃん。ここで新しい新選組を作ろう」
「まだやるか」
「当たり前よ。これからだ」
「これからか」
「ああ」
立ち上がり、「これからだな」と呟く近藤さん。穏やかだなぁ、二人とも。先週の激戦が嘘のように……
と、そこに現れて「なぜ五兵衞新田というか、知ってます?」と解説しだす周平。すごく楽しそう。「こういうの、好きなんです」と言ってはにかむ周平、かわいい。
いいと思う。今の新選組には、学問に聡い人がいないから……
と思ったら、あれ、土方さんがいない(笑) 探すと、近藤さんは誰かにきゅんと惚れている町娘を見つけます。視線の先には、ちょーーカッコつけた土方さんが(爆笑)全く、葉をふっと吹くなんて、ちょーイケメンにしか許されないんですけど🤣
1話でも、おんなじようなことやってたなぁ、土方さん。
「変わってない……」
呟く近藤さんがツボ(笑)
「話は簡単だ。江戸の町は、あんたにやるから、明日の総攻めは、やめろ」
めっちゃわかりやすく話してくれた勝先生。西郷さんもあっさりと承諾しちゃうし。
よし、細かいことは奥で話そう。俺の部屋じゃねえけどな」
笑う西郷。結構すんなり描かれてましたね(感想書く方としてはありがたいのです、簡単にまとめてくれると笑)
「あの勝沼で聞いた斎藤君の思いは、胸に突き刺さった」
「俺、この間の斎藤さんの言葉、泣きそうになりました」
口々に先週のことを言われて恥ずかしそうな斎藤さん。ご丁寧に回想シーンまで入れて(笑)
「私も驚きました。普段は無口な斎藤さんが、あんなに熱い男だったとは……」
とはいえ尾形さんにまで言われるのは納得がいかないのか、ブチギレて胸ぐら掴む斎藤さん(笑)
近藤「会津に行こうと思う。しかしその前に、やるべき事がある。それは調練だ。新選組の名に恥じない部隊を作るのが先だ」
土方「場所を探さないといけねぇな」
島田「利根川をちょっと上って下総に入った当たりに、良い場所がありました」
近藤「そこは、なんていうところだ」
島田「たしか……流山」
近藤「流山」
地名を読み上げる近藤さんのその目は、まだまだいく気ですね……!
でも、でもそんな、意味ありげに呟かせるなって、三谷さん(泣)
そしてやっとオープニング。先週に続きサブタイトルで泣くし、古田新太さんに喜んだり……で、本日クレジットのトリは。
植木屋平五郎 島田順司
きゃーー!!!!(バンバン膝たたく)
いやぁもう、わかってるなぁ三谷さん!!こんなの、夢の共演じゃないですか!生まれてないから島田版は見てないけど!(見てないんかい)
それでもなんか、昭和の沖田総司として皆に愛されてきた島田さんが平成の藤原沖田と共演するっていう事実だけで、私は興奮できるのです。
(最初の方で離脱しちゃった人、見ときゃよかったのに……なんてぶつぶつ)
総司のもとに近藤さんが訪ねてきました。総司、どんどん細くなってきしまって……
「この戦が終わって、また徳川様の時代が戻ってきたら、まずはお前の天然理心流五代目襲名披露だ」
息を切らしながらも嬉しそうに、「はい……!」とうなずく総司。
「盛大にまた野試合をやろう」
「やりましたね。こんなの付けちゃって……」
やったなぁ。試衛館メンバーがみんな紅組で、でも参戦した総司がみんなを打ち負かしちゃって、逆転しちゃったんだよね。それを嬉しそうに笑顔で見ていた近藤さんも、覚えてる。
「楽しかったですね」
「そして多摩の神社を回って、額の奉納もしなければならない。忙しくなるぞ」
来るはずのない未来を生き生きと語る近藤さんが優しいし、それに合わせて前向きに応える総司も優しい(涙)
「寝てなんか、いられないじゃないですか」
「お前はだから今のうちに、しっかり養生しておけ」
そして立ち上がる近藤さん。
「また、来る」
「皆さんによろしく」
頷いて帰っていく近藤さんを、ずーっと見つめ続ける総司。まっすぐ。
「みなさんによろしく」
が、ものすごく悲しい声音で。藤原君、そんな切ない声、出さないでよ。
そして近藤さんを見送っているお孝が、
「ほんまにまた、徳川様の世が来るんやろか」
と呟きます。
「来るわけなんかないじゃないか。
そんなこと、あの人だってわかってるんだ」
さっきとは真逆のように暗いトーンな総司。
お互いわかってて嘘ついて、笑顔でお別れした。
「何も言わない関係が一番深いんだ」
この二人は最後までそれを守り続けたんだなって……お互い聞かず、踏み込まず。「聞かなくたってわかるから」そう言った総司、本当に全部見抜いてた。なんて切なく哀しいんだろう。
そして、これが勇と総司が一緒にいる最後のシーンなのでしょうか……(泣)
「新八じゃないか!」
まさかの、市川宇八郎に再会した永倉さん。
「死んだんじゃなかったのか」
生きてたんかい!たぶん勝手に退場者扱いされてた宇八郎さん(笑笑)
でも、「おそのはどうしてる?」と聞かれて、黙ってしまう永倉さん。
「なにやら戦の調練をしている怪しい者達がいる」「甲州勝沼から逃げてきた近藤勇ではないか」ということで、取り調べを行うことにした新政府軍。薩摩藩士の有馬藤太に行かせることに決めます。
「チェーーストーー!!」
「有馬殿」
「チェーーストぉーーー!!」
「あり」
「チェーーストぉぉーーーー!」
「有馬殿!
仕事ぜよ」
癖強そう(苦笑)そんでもって怖いです、古田新太さん。
新選組は、どこかの寺の境内で調練を行っています。もう今は当たり前のように鍬次郎の隣にいる周平。この光景が嬉しかったり。
植木屋平五郎宅で療養している総司。この時のアングル、好きなんですよねぇ!植木を切っている島田順司さんと、そのバックの縁側に腰掛けている藤原竜也。ダブル沖田だ〜!!
さて、その総司はどうも全然じっとしていないようで、お孝ちゃんに怒られてます。
「けど、また隠れて素振りしたりするんやろ?」
「もうそんな気力残ってないよ」
そっか……あの、剣が大好きで剣一筋の総司が、もうそれさえもする気力がないなんて……
総司が、自分の腕にいた蟻を潰して捨てています。その様子を見ていたお孝さん。
「何してるん!」
「そっと戻って来るなよ……」
「今、何した?」
「蟻がいたから」
「なんも潰して捨てることないでしょ!」
「蟻だよ」
「蟻かて生き物や」
「蟻は生き物じゃないよ」
「あほや。蟻かて人かて、命の重さに変わりはないんよ」
「何言ってんだか」
「さすがは新選組の一番組長さんや。生き物殺しても、何にも感じんのやな」
その言葉にはちょっとムッとした様子。
「あんたは蟻殺したことないのかよ!」
「ないわ」
「ないわけないだろ知らないうちに10匹くらい踏んでるって」
爆笑🤣🤣
「避けて通ってます」
「そっちのが馬鹿だ!」
「あのなぁ、命あるもんを大切にせんと、罰あたるで。あのな、食べるためや無しに、他の生き物殺すのは、人間だけなんやて」
「そんなことないよ」
「良順先生が言うとった」
「じゃあ狐とか狸は蟻を殺さないのか」
「殺さへん」
「嘘だよ」
「嘘やない!」
「そんな話、聞いたことない。じゃあ狐は道を歩いていて蟻がいたら避けて通るのか」
「避けて通る」
「あり得ない!」
「ある!!」
コントじゃん(笑笑)最高。もう、この二人夫婦になっちゃえばいいのに(笑)
と思ってたら、平五郎さんが
「お二人は本当に仲がよろしいんですな」
と、おんなじことを(笑)
顔を見合わせて、「そんなこと、ないですよ」と言うけど、お似合いだと思うな。
宇八郎に新しく作った隊に入らないかと誘われた永倉さん。
「入りゃいいじゃねぇか。お前はおそのちゃんのこともあるし、断れないだろ?」
「一緒にどうだ」
「俺はいいよ。別の隊に入るつもりはねぇ」
「どうする?」
「京へ戻るわ。そろそろ、茂も生まれる頃だしな」
「今戻るのはまずいだろう」
「心配するな。俺の人生は俺がなんとかする。今までだって、そうして来たんだから」
「左之助」
「いろいろあったけど、楽しかったな」
「ああ」
お互いに笑い合う二人。そして、左之助は京へ向かいました。
ふと、壬生大相撲(懐かしい!)のチラシ配りの時に、「俺たち生きるためにはなんでもしてきたからね」と言っていたのを思い出す。それをポジティブに捉えているところがほんと素敵。
今更だけど、どうして永倉と原田は仲が良いって相場が決まってるんでしょうね。でも、せめてこの二人が喧嘩別れでなくてよかったなと思う。
総司を訪ねてきた斎藤。なんですか、この絵になるショットは!あー待ち受けにしたい😆
総司ってばなんか、胸元はだけてるし(≧∀≦)土方さん風?(笑)
「来てくれて嬉しいです」
「……いつ頃死ぬんだ」
まじか。病人にそれを言う??さすが斎藤、想像の斜め上をいく(笑)
「夏の、終わりぐらいかな」
びっくりしつつもそう答える総司。あまりにも穏やかなその声は、もう悟りきっているよう……
「お前はいいな」
「何がですか」
「お前は戦に出たことがないからわからないだろうが、もう刀の時代じゃないんだ」
「土方さんも言ってました」
「人を斬るしか能のないやつは、これからどうやって生きてく」
二人の姿をバックから映すカメラワークが素敵です。
「今は薩長相手に戦ってればいい。だがもし生き延びて………」
「近頃思うんです。この二百年、ずっと戦がなくて、いよいよ世の中が不穏になってきたら、刀の時代は終わっちゃった。そのほんの短い間に私はこの世に生まれて、近藤さんたちと出会って、京で新選組として働けた。なんて自分は運がいいんだろうって」
もう自分の人生を振り返るところまで彼はきたんだ。ああ……怖い。嫌でも彼が、もうすぐ死ぬんだとわかってしまう……。
「それを言うなら俺はもっとついてる。
もしも近藤さんに出会わず、京で薩長の側についてたら、京の街でお前と戦っていたかもしれない」
懐かしむかのような微笑みを浮かべる総司。純粋で、優しくて、満ちていて、でも大人な笑み。こんな微笑み方、今までの総司はできなかった。
「俺は間違いなく負けてたよ」
そして、こんなに自然で穏やかに笑う斎藤さんもはじめて。
お互いにリスペクトしている、二人のこの関係、いいですね。
それから立ち上がり、
「涼しくなる前にまた来る」
と。それは、夏の終わり頃に死ぬと言った総司に、もう少し頑張ってみろということかな。
『だがもし生き延びて』
斎藤さんは、生き延びるんですよね。どうやって、生きていくのか。この先、最終回が終わった後の、彼の人生もぜひ見てみたい。
ここのシーンの二人のね、"ついてる自慢"がすごく好きなの。物語はものすごく辛いけど、苦しいけれど、でもこの人たちは幸せだったと思えるんだって。楽しかったんだって。そうお互いに言える二人はとても強くて優しくて、だから見ていて泣けるんです。本人達はこんなに穏やかで幸せそうな顔をしているのに。
スタート地点は真逆で、負のオーラを纏っていく沖田と人間らしくなっていく斎藤が交錯していって、この二人は最後、どこに行きつくんだろう?と思っていたけど……たぶん、最終的には同じ境地に辿り着いたんですね、二人とも。
幕末の、新選組の剣豪二人が語るからこそ、ぐっと沁みる会話でした。
とうとう近藤らのもとにやってきた有馬さん。尾形から報告を受けて、
「とにかくあんたは、旗本の大久保大和で押し通せ。近藤勇とばれたら終わりだ」
と近藤に言う土方さん。
まずは土方が有馬を応対します。
「兵を集め、鍛えているち聞き申したどん、そいはどげなためのもんごわすか」
「江戸城の明け渡しが決まって以来、江戸表から脱走した兵が、方々の村を襲って乱暴するという騒ぎが、度々起きております。我らは、それを取り締まるために集まった者」
「じゃっどん、そいは、おいどんたち、官軍の役目。おはんらの仕事ではなか」
「官軍の皆様のお手を煩わせるつもりはありません」
もちろん有馬は引かず、「調練の様子を見せてもらいたい」と。
土方「……少々、お待ちを」
奥で相談する近藤、土方、尾形。
「連れて行くしかないだろう。今ここで断れば、余計に怪しまれるだけだ」
「しかし、島田たちにはまだ話は伝わってない」
「新選組と覚られたら、万事休すですね」
「一か八かだ」
近藤さんはいつも、大事な時には賭けに出た。そして勝ってきた。今回は、どうでしょうか……
お寺の境内で調練をしている島田たち隊士のところに、有馬を連れて来た近藤と土方。
なんとか空気を読んで、余計なことを喋らないようにしている隊士たち。使っている鉄砲や大砲などを怪しげに検分して、有馬さんは、
「なるほど」
と納得。ほっと息をついたのもつかの間……
「よーう!かっちゃーん!元気だったか!」
うわぁーー!!捨助よ、な、なぜこのタイミングで現れる……!?
「あっちで話そう」と土方さんが引っ張っていこうとするも、「助けに来てやったんだよ」「村でおとなしくしてんの、俺の性分には合わねぇや」
とぺらぺらぺらぺら止まらない捨助😨
「これからもよぉ、力を合わせて、あの野郎どもをぎょふんと言わしてやろうぜ!」
終わった……
「あの野郎どもち、誰のことじゃ」
案の定突っかかる有馬さん。
「誰のこと?決まってるじゃないですか」
「言うてみれ!」
その間に周平から鉄砲を奪い、捨助に焦点を定める土方さん。「へ?」と笑顔が固まる捨助。わかってる?わかってる?お願いよ捨助ーー!!
諦めたかのように近藤さんが目を閉じたその時。
「江戸表から脱走して、このあたりを荒らし回っている奴らのことですよ」
銃の照準を外す土方。あたりの緊迫感が緩みます。
「罪もない人達を困らせて、あいつら断じて許せねぇ!これからもよろしく頼みますよ、大久保先生!!」
そして有馬の隙をみて、近藤と土方に、
「本陣に寄ってきて尾形から話を全部聞いた」
と言う捨助。
「ハラハラした?ね、ハラハラした?」
「あっち行ってろ」
捨助の顎を捻る土方さん。もぉ、ほんとだよ、黙っててよー!
その時、何かを見つけて検分の動きが止まった有馬。
土方「しまった」
近藤「一体なんだ」
土方「旗だ」
そして土方さんは……刀に手をかけ、有馬の背後にまわります。有馬は近藤と対し、そして、
「こん時節に兵を集めれば、痛くもなか腹を探らる。即刻、解散をお勧めしもす」
あ、あれ?
「手間を取らせもした。戻りもんそ」
見逃してくれるの?有馬さん……!
出口に向かっていく有馬がふと足を止めて、
「時に、大久保どん。近藤勇を、ご存じな?」
と問いかけます。やっぱり、気づいてるよね、この人……
「近藤のこつを、どけん思うな。京では散々、乱暴狼藉を働いたち聞いちゅう。新選組に斬られた勤王の志士は数知れず。最後まで徹底抗戦を主張したのも、近藤ち聞いちょいもす」
近藤さんは試されている。でも、ここからが近藤さんの本領発揮。今までだってそうやって、たくさんの人の心を打ってきたんだから」
「近藤は、天下の大罪人でございます。されど盗人にも三分の理があると申します」
「近藤の言い分とは?」
「薩長のことを許す訳にはいかなかったのでしょう。この天下を我が物にするために、帝を利用して、戦を起こした。あの者たちのやり方が。」「薩摩は特に徳川に、力を貸すように見せかけ、最後に裏切った。それは、武士のやることではない」
「おいも、その薩摩の人間でごわす」
「今のは私の意見ではありません。あくまで、近藤勇の気持ちを」
「なるほど」
「薩摩のやり方を、有馬様はいかが思われますか」
「おいは 藩の命に従うのみでごわす」
「義を重んじる者にとって、薩長を認める訳にはいかなかった。戦では負けましたが、勝敗は時の運。悔いはない。今でもはっきりと言えます。正義は我らにある。これから何度生まれ変わっても、戦い続けます」
おいおい、そこまで言っちゃって大丈夫?ってくらいぎりぎりを攻めてる近藤さん。
でも、感動。そしてそれは私だけじゃないはず。土方も、捨助も、隊士たちも、そしてこの撮影に居合わせた全員が。近藤勇の力強い言葉に心を奮い立たされたのでは……!
背中合わせの近藤と有馬を360℃回転しながら映すカメラワークが余計に鳥肌たたせる。この演出がすごくいい。
「そう、近藤は思っているのではないでしょうか」
「もし、近藤が、ほんのこてそげな男じゃれば、敵ながらあっぱれち言わんにゃなりもはんな。
一度、膝を付き合わせて、酒でも飲みたか」
認めてくれたーー!!いやほんと、敵にそこまで言わせる近藤勇はやっぱりすごい。油小路あたりから毎週のように近藤さんのこういうシーンを見せられて、近藤さん株がさらにさらに急上昇しております。
これで、薩摩の疑いは晴れた。少なくとも有馬さんは。
今度こそ帰ろうとした有馬さん。そこに薩摩兵が現れて、何かを耳打ちします。
「軽はずみにそげなことを言うな!」
うわーん、怒ってくれて嬉しいよー、有馬さん(完全にやられました。もうすっかり味方気分になってしまっている単純な自分)
「お前のことを京で見た者がいる。近藤勇だと言ってきかないのだ」
と、近藤に告げる有馬さん。
土方「お待ちください」
有馬「こげんなった以上、本陣にて取り調べを行う。
心配は要らん。形だけ、ごわす。疑いが晴れれば、すぐにもお帰り頂きもす。断れば、立場が悪くなるだけじゃ。ここは、おいを信じてたもんせ」
わかりました、と頷く近藤さん。驚いて見る土方さん。そうだよ、大丈夫?いい人かもしれないけど、敵なんだよ……
(後編へ続く)

